このページでは、日本のフランチャイズ市場において過半数を占める「法人フランチャイジー」の実態と、その戦略的な役割について解説しています。
法人がフランチャイズに加盟する意義を正しく理解し、自社の長期的な成長戦略に組み込むための本質的な視点がわかる内容です。
フランチャイジーとは、フランチャイズシステムを使ったビジネスを行っている個人または法人のことです。海外ではフランチャイズといえば個人の独立開業手法としてのイメージが強いのに対し、日本のフランチャイズ市場においては加盟者の半数以上を法人が占めています。
日本に存在するとされる法人フランチャイジーの数は、1万~1万3,000社程度。その多くが地方の老舗企業となっています。
日本のフランチャイズ市場の半数以上を占めている法人フランチャイジーですが、「専業型」と「兼業型」の2種類が存在します。
専業型とは、個人による1店舗加盟からスタートし、その後に店舗数を増やして専業の法人となったタイプです。日本の法人フランチャイジーに多いのはもう一方の兼業型で、本業を持つ既存の中小企業が兼業としてフランチャイズ店を営んでいるタイプを指します。
フランチャイズには個人が起業・独立するための手段という側面もありますが、日本のフランチャイズにおいては基本的に中小企業が成長するための市場となっています。
中小企業が業容拡大や多角化、遊休不動産の活用、本業の効率化もしくは本業不振からの脱却を目的に兼業としてフランチャイズに加盟していることから、兼業型がフランチャイズ加盟時の6割以上を占めているというわけです。
兼業型での加盟の多さは、日本のフランチャイズ市場をあらわす大きな特徴となっています。
法人フランチャイジーの全体の30%が3大都市を含む3都道府県に集中している一方で、全都道府県に存在することも明らかになっています。
それどころか、人口比で捉えると地方圏の割合のほうが高い傾向にあり。特に50店舗以上を運営するメガフランチャイジーの多くは地方の法人フランチャイジーであることからも、フランチャイズビジネスが地方圏に大きなビジネスチャンスをもたらしているとも言えます。
フランチャイズビジネスが地方圏で大きな影響を与えている理由としては、都市部との消費生活の質の格差が関係しています。地方圏は都市部に比べて小売・飲食業やサービス業の選択肢が少なく、都市部と同じ消費生活を味わう機会に恵まれていません。
そんな地方圏に都市部と同じ消費機会をもたらすフランチャイズビジネスの効用は非常に大きく、地方圏の市場を占拠しやすい競争環境が生まれています。
英語圏のフランチャイズ研究では、本部と個人の加盟者の間には歴然とした力の差が存在するとみなされており、いわゆる支配=従属関係だと想定されてきました。けれど、日本のフランチャイズ市場の多くは兼業型の法人フランチャイジーが占めており、専業として1店舗を運営する個人加盟者とは意思決定の仕組みが大きく異なります。
兼業型の法人フランチャイジーにおいては、自社の成長戦略の1つとしてフランチャイズ事業が組み込まれていることから、本部との関係において支配=隷属関係という仕組みが成立していません。企業経営者としての目線で加盟ブランドのビジネスモデルや本部の経営戦略を評価し、本部と加盟者が対等な立場で共に成長していく共創関係が求められています。
自社の成長戦略の1つとしてフランチャイズ事業に取り組むには、本部を選択する際に企業経営の視点を持つ必要があります。最初の本部選択の基準においては個人フランチャイジーと大差なかったとしても、フランチャイズ事業を通して自社の成長戦略を図るのであれば、2つ目以降の本部選択については経営戦略的な視点から選ぶことが重要です。
Q. 兼業型の法人として加盟する場合、既存事業のスタッフをそのまま転用しても問題ありませんか?
A. 可能です。むしろ、既存の人材リソースを有効活用できる点は法人の大きな強みとなります。ただし、新事業には独自のオペレーションやマニュアルが存在するため、本部が提供する研修プログラムを適切に受講させ、マインドセットを切り替えることが成功のポイントとなります。
Q. 地方で複数の異なるブランドに加盟する際、本部間のトラブルになりませんか?
A. 原則として、同業種(競業)でなければ問題ありません。むしろ、異なる業種(例:飲食と介護など)を組み合わせることで、地域の景気変動リスクを分散させる法人フランチャイジーは非常に多いです。契約書の「競業避止義務」を事前に確認し、本部に透明性を持って報告していれば、トラブルは防げます。
Q. メガフランチャイジー(50店舗以上運営)を目指すための最低条件は何ですか?
A. 資金力はもちろんですが、最も重要なのは「本部機能を自社内にも持つこと」です。数店舗であれば本部の指導だけで回りますが、メガ化するには自社内でエリアマネージャーを育成し、独自の管理体制や採用スキームを構築する「組織力」が不可欠になります。
Q. 本部との「対等な関係」を築くために、加盟店側ができることは何でしょうか?
A. 現場から得られる「顧客の声」や「地域特性」といった生のデータを本部にフィードバックすることです。本部は全国の成功事例を持っていますが、特定の地域の深掘りした情報は加盟店にしかわかりません。有益な情報を共有し、共にブランドを育てる姿勢を示すことが、発言力を強めることに繋がります。




【注釈】
※1 リユース経済新聞( https://www.recycle-tsushin.com/news/detail_5804.php)
※2 厚生労働省( https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001099975.pdf)
日経コンパス( https://www.nikkei.com/compass/industry_s/0901 )
※3 株式会社AZWAYによるネットアンケート『「2024年にチャレンジしたいこと」1位:健康・美容、2位:スキル取得・向上、3位:副業、4位:運動・筋トレ』
( https://azway.co.jp/media/challenges-2024/)