一口にフィットネスジムと言っても経営業態はさまざまで、それぞれに特徴が異なります。例えば大型ジムや総合型ジムの場合は多くの設備や機材が必要で、初期費用・運転費用ともにかさみがちです。またある程度の数のスタッフも採用・教育する必要があります。
近年増えている中小型のジムは、都会の駅近など好立地な店舗が目立ちます。価格面で強みを出すためマシン中心にしたり、サウナを併設したりと、ウリの幅が広いのも特徴です。
24時間ジムも近年増えており、フランチャイズも増加傾向にあります。スタッフがいない時間も営業できるため、ランニングコストパフォーマンスは良いでしょう。
近年、健康志向の高まりとともにフィットネス事業は成長を続けています。フランチャイズとして開業することで、既存のブランド力やノウハウを活かし、リスクを抑えて成功のチャンスを高めることができます。フランチャイズの強みを最大限に活用し、成功への道を切り開きましょう。
フィットネス業界は、2011年の東日本大震災でダメージを受けたものの同年後半には再び回復基調を取り戻し、その後ぐんぐんと成長して市場規模を拡大してきました。
2019年には4,939億円という市場最高値を記録しています。コロナ禍の影響で一時的に縮小はしたものの、健康志向が広がり身体を動かすことへの関心が高まっているいま、中長期的には成長が期待できる業界と言えるでしょう。
フィットネスジムの運営には、ある程度安定した収入が期待できるというメリットがあります。リピーターを確保するのがなかなか難しいサービス業と異なり、フィットネスジムは基本的に会員制システムのため、一度会員を獲得できれば「会費」という毎月一定の収益が得られます。
また、フィットネスジムにはいくつかのプランが用意されているのが一般的で、さまざまな層を顧客として取り入れやすいのも魅力です。プランの詳細は本部により決められているため初心者経営でも迷わずに済むでしょう。
さらに、本来フィットネスジムを経営するにはフィットネスに関する専門知識が要りますが、フランチャイズなら未経験でも安心です。フィットネス器具の知識や経営ノウハウなどは、本部から提供してもらえます。
フィットネス業界では、市場の成長に人材が追いついておらず、人材不足が全体の課題となっています。トレーナーやインストラクターの育成機関が多くないこともあって、急激に店舗を増やしているマイクロジムなどではスタッフの質低下も問題視されています。こうした人材に関する課題は頭に入れておく必要があるでしょう。
また、近年利用者が増えてはいるものの、利用率はまだまだ低い現状があり、これも業界全体の課題として挙げられます。具体的な数字で見ると、フィットネスクラブ会員数は日本の総人口のたった3%程度です。この現状もしっかりと踏まえ、フィットネス未経験者層を取り込む対策も重要となるでしょう。
フランチャイズでフィットネス事業を開業する際には、初期費用と維持費用の両方を考慮する必要があります。以下に、それぞれの費用について詳しく説明します。
初期費用には、フランチャイズ加盟金、設備投資、店舗改装費などが含まれます。これらは一度支払えば済む費用ですが、高額になることが多いため、しっかりとした資金計画が必要です。具体的には、フランチャイズ加盟金は数十万円から数百万円、設備投資は数百万円から数千万円に達することがあります。また、店舗改装費用は店舗の規模や立地条件によって変動します。
維持費用には、ロイヤリティ、広告費、人件費、運営費などが含まれます。ロイヤリティは、売上に応じてフランチャイズ本部に支払う費用で、売上の数%から数十%程度が一般的です。広告費は、ブランドの認知度を維持・向上させるために必要な費用で、フランチャイズ本部が一部を負担する場合もあります。人件費は、スタッフの給与や福利厚生費用で、運営費は光熱費や備品の購入費などです。
近年、フィットネス業界は健康志向の高まりを背景に大きな成長を遂げています。特に24時間ジムやパーソナルジムの普及が顕著で、消費者の多様なニーズに対応したサービスが拡大しています。コロナ禍で一時的な縮小が見られましたが、現在は回復基調にあり、オンラインフィットネスやハイブリッド型ジムといった新たなサービス形態も登場しています。
日本国内では、フィットネスクラブ市場が2019年に4,939億円という市場最高値を記録し、2020年代以降も着実な成長が期待されています。地方都市への展開や高齢者向けサービスの需要増加も、業界のさらなる成長を支える要因となっています。
フィットネス業界では、以下のように二極化が進んでいます。
利便性とコストパフォーマンスを求める顧客層に向けた24時間ジムは、急速に市場を拡大しています。このビジネスモデルでは無人運営を採用することで人件費を大幅に削減し、その分低価格な会費を実現しています。加えて、24時間営業という柔軟な利用時間が、忙しい現代人のライフスタイルに適合している点も大きな魅力です。特に、エニタイムフィットネスのようなジムは、この戦略で世界規模の成功を収めています。
高価格帯のパーソナルジムは、トレーニングに高度な専門性を求める顧客層に支持されています。これらのジムでは、専属トレーナーによる個別指導や最新設備を提供し、短期間で成果を出すことに焦点を当てています。たとえば、RIZAPは「結果にコミットする」という強いメッセージと独自の指導スタイルで、高価格ながらも高い満足度を提供しています。また、プライベート空間や特別なサービスが付加価値として提供されることも多く、エクスクルーシブな体験を求める顧客にアピールしています。
フィットネス業界は競争が激化しており、特にフランチャイズモデルでは競合他社との差別化が成功の鍵となります。顧客の多様なニーズに応えるための明確な戦略が求められます。
市場での競争優位性を確保するには、特定の顧客層に焦点を当てることが効果的です。たとえば、女性専用ジムは女性が安心して利用できる環境を提供し、シニア向けジムは体力づくりや健康維持に特化したプログラムを提供します。また、初心者向けに低負荷トレーニングを強調するジムは、フィットネスに不慣れな層を取り込むことが可能です。このような特化型戦略は、競合との差別化を図る上で有効です。
フィットネス業界では、テクノロジーを活用したDXが注目されています。AIを活用したトレーニングプログラムは、個々のユーザーに最適なメニューを提供し、効果的なトレーニングを実現します。また、オンラインフィットネスとの連動や、ハイブリッド型ジムとしてリアルとバーチャルのサービスを融合させることで、幅広い顧客層に対応可能です。これにより、利便性を向上させながら、新しい市場を開拓するチャンスが広がります。
地域住民とのつながりを重視する地域密着型ジムも増加しています。健康促進イベントの開催や地域コミュニティの形成を通じて、顧客との信頼関係を構築することができます。例えば、無料の健康セミナーやマラソンイベントの企画は、ジムの認知度向上と集客につながります。地域との連携を強化することで、他社との差別化が図れるでしょう。
24時間営業で利便性を追求したエニタイムフィットネスは、忙しい現代人のニーズに応える戦略で競争をリードしています。一方、パーソナルジムのRIZAPは、「結果にコミットする」というブランドイメージを打ち出し、顧客の目標達成を支援する独自のサービスで成功を収めています。これらの事例から、自社の強みを明確にし、それを効果的に打ち出すことが重要です。
フランチャイズでフィットネス事業を成功させるためには、本部の選定や立地、教育などのポイントに注意する必要があります。まず、フランチャイズ本部の選定。信頼できるフランチャイズ本部を選ぶことで、サポート体制やノウハウを最大限に活用できます。また、立地選定も成功の鍵です。ターゲットとなる顧客層が多いエリアを選ぶことが重要です。さらに、継続的な顧客満足度向上を図るためのサービス向上や、スタッフの教育・育成も欠かせません。最後に、定期的な経営状況の見直しを行い、適切な対応策を講じることが成功のポイントです。
フランチャイズでフィットネス事業を開業することで、成功のチャンスを高めることができます。しかし、成功のためには事前の準備と継続的な努力が必要です。しっかりとした計画を立て、適切なサポートを受けることで、フィットネス事業の成長を実現しましょう。魅力的なサービスと顧客満足度の向上を目指し、地域社会に貢献するフィットネスビジネスを展開しましょう。
【注釈】
※1 リユース経済新聞( https://www.recycle-tsushin.com/news/detail_5804.php)
※2 厚生労働省( https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001099975.pdf)
日経コンパス( https://www.nikkei.com/compass/industry_s/0901 )
※3 株式会社AZWAYによるネットアンケート『「2024年にチャレンジしたいこと」1位:健康・美容、2位:スキル取得・向上、3位:副業、4位:運動・筋トレ』
( https://azway.co.jp/media/challenges-2024/)