遊休資産とは、もともと業務に使う目的で取得されたものの、現在は使われていない資産のことを指します。たとえば、工場の土地や建物、機械設備、業務用ソフトウェアなどが該当します。これらは当初、利益を生むと期待されていましたが、事業計画の見直しや市場の変化によって使われなくなってしまったのです。
しかし、使われていなくても固定資産税や維持費は発生し続けます。こうした資産は「休眠コスト」となり、企業にとっては負担となるのです。また、法人税法上、事業に使っていない資産は減価償却費を損金にできないため、税務にも影響が出ます。
遊休資産には、目に見える土地や建物だけでなく、ソフトウェアのような無形資産も含まれます。たとえば、工場用に購入した土地が結局使われずに放置されたり、古い機械が新しい設備に置き換えられて動かされなくなったりした場合がこれにあたります。また、導入したものの業務で使われなくなったソフトウェアも遊休資産です。
このような資産は、保有しているだけで固定資産税やライセンス維持費などの費用がかかり、企業の資金効率を悪化させてしまいます。
企業は成長に合わせて投資を行いますが、計画の変更や市場の変化によって、導入した資産が使われないままになってしまうことがあります。たとえば、開発の遅れで新しい機械が使われずに置かれている、拡張計画が中止されて余った土地や倉庫が放置されている、などです。
特に、設備の入れ替えサイクルが短くなったことで、資産が使われなくなるリスクは年々高まっています。
景気の変動や消費者のニーズの変化、新しい競合企業の登場によって、期待していた需要が減ってしまい、資産が余ってしまうこともあります。製造業では人口減少による国内需要の低下、不動産業ではオフィス需要の減少などがその要因です。
また、サプライチェーンの再編成で一時的に使われなくなった設備が、結果的に恒久的に遊休資産になることもあります。
遊休資産でも、所有している限りは税金や維持費が発生します。土地には固定資産税、設備には点検費用、ソフトウェアには保守料がかかるため、使っていない資産にお金がかかり続けます。
こうしたコストは企業のキャッシュフローを圧迫し、利益を圧迫する要因になります。
遊休資産は収益を生まないにもかかわらず帳簿上に残るため、企業の資本効率を下げてしまいます。たとえば、ROA(総資産利益率)が悪化し、投資家や金融機関からの評価が下がる可能性があります。
また、本来なら別の事業に使えた資金が遊休資産に縛られることで、新しい成長機会を逃す「機会損失」にもつながります。
使われていない資産は管理が行き届かず、安全面でのリスクも増えます。たとえば、放置された設備が事故の原因になったり、不適切な廃棄処理によって法律違反に問われたりすることもあります。
企業の信頼性が損なわれるだけでなく、訴訟リスクやブランドイメージの悪化につながる可能性もあるため、注意が必要です。
遊休資産でも、帳簿上では原則として減価償却を行います。これは資産の価値が時間とともに減ることを計上するもので、費用として認識されます。ただし税務上では、「事業に使っている資産」でなければ、減価償却費を損金(経費)にできません。
一方で、将来的にも使う予定がなければ、その資産の現在の価値(回収可能な金額)を見積もって、帳簿価格との差額を「減損」として処理します。これにより、実際の資産価値に即した会計が可能になります。
使わない資産で、価値が下がってしまったものには「評価損」を計上します。これは資産の価格が帳簿より低いときに、その差額を損失として処理するものです。
さらに、実際に廃棄した場合や物理的に除却した場合には、「除却損」として処理されます。税務上の損金として認められるには、廃棄した証拠(証明書や写真など)を準備しておく必要があります。
税務申告では、「事業に使っているかどうか」「稼働していない期間はどのくらいか」「管理状況はどうか」といった情報が重要です。税務署から指摘を受けた際に備えて、会議録や資産の写真、廃棄証明書などをきちんと残しておくことで、損金計上が認められやすくなります。
遊休資産を使う予定がない場合は、売却や他社への譲渡を検討しましょう。これにより、すぐに現金化でき、キャッシュフローの改善にもつながります。
ただし、売却益が出た場合は税金が発生するため、税務処理を事前に確認しておくことが大切です。
空いている土地や使っていない倉庫・設備は、他社や個人に貸し出すことで収益を得られます。たとえば、コインパーキングとして貸し出したり、機械をレンタル事業に回したりする方法があります。安定した収入を得られるうえに、固定費の軽減にもつながります。
老朽化して使えない資産は、適切な手続きを経て廃棄し、帳簿から除却します。産業廃棄物処理業者に依頼し、廃棄証明書を取得することで、法令を守りながら除却損を計上できます。
別の事業部やグループ会社で再活用したり、資産をいったん売却してからリースで使い続ける「セール・アンド・リースバック」という方法もあります。これは資金調達しながら、必要な資産を引き続き使えるメリットがあります。
まずは、どこにどんな遊休資産があるのかを正確に把握することが大切です。定期的に棚卸を行い、IoTやクラウドを活用してリアルタイムで状況をモニタリングすることで、遊休化の兆候を早期に発見できます。
「遊休率」や「ROA(総資産利益率)」などの指標を使って、どれだけの資産が非効率かを見える化することも重要です。ダッシュボードを使って経営層が把握しやすくすることで、改善の判断がスムーズになります。
設備の稼働データを24時間自動で収集し、AIが異常を検知する仕組みを導入すれば、遊休資産になる前に対策できます。壊れる前のメンテナンス(予防保全)にも役立ちます。
遊休資産の管理には、経営層の関与と明確な責任体制が欠かせません。たとえば、資産管理の責任者を定め、処分にはルールを設けることで、放置される資産を減らすことができます。
使っていない資産をフランチャイズビジネスに活用することで、初心者でも収益を上げやすくなります。フランチャイズなら、ブランド力のある事業をすぐに始められ、本部からの研修やサポートも受けられるため、リスクを抑えた運営が可能です。これにより、遊休資産にかかるコストを、安定した収入に変えることができます。
たとえば、空き倉庫をリノベーションして始める「コインランドリー」は人気です。2024年の市場規模は1,015億円に達すると予測され、安定したニーズがあります。また、敷地を活用した「コインパーキング」や「無人カフェ」「自販機型店舗」なども、小規模投資でスタートしやすい業種です。
無理なく始められる体制が整っているため、初めてでも挑戦しやすいのがフランチャイズの大きな利点です。
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【注釈】
※1 リユース経済新聞( https://www.recycle-tsushin.com/news/detail_5804.php)
※2 厚生労働省( https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001099975.pdf)
日経コンパス( https://www.nikkei.com/compass/industry_s/0901 )
※3 株式会社AZWAYによるネットアンケート『「2024年にチャレンジしたいこと」1位:健康・美容、2位:スキル取得・向上、3位:副業、4位:運動・筋トレ』
( https://azway.co.jp/media/challenges-2024/)