このページでは、フランチャイズの開業を検討している法人に向けて、押さえておきたいフランチャイズ情報を紹介します。
海外ではフランチャイズというと個人の独立開業手法としてのイメージが強いのに対し、日本のフランチャイズ市場においては法人フランチャイジーが半数以上を占めています。さらに、その多くが地方の老舗企業で、なおかつ本業を別に持つ中小企業が兼業としてフランチャイズ店を営んでいるのが大きな特徴です。
また、小売・飲食業やサービス業の選択肢が少ない地方圏において、都市部と同じ消費生活を味わえるフランチャイズビジネスの効用は非常に大きく、地方圏の市場を占拠しやすいというメリットもあります。
フランチャイズ・システムを用いた事業活動は従来の小売業および外食業の枠を超え、各種サービス業にも拡大。多くの事業者がフランチャイズ・システムを活用して新規参入することにより、広範な分野の市場の活発化が期待されています。
その一方で、懸念されているのが本部と加盟者の取引における独占禁止法上の問題です。本部と加盟者は企業における本店と支店の関係に思われがちですが、法律的には加盟者は本部から独立した事業者であることから、本部と加盟者の取引は独占禁止法の適用対象となります。
公正取引委員会では独占禁止法の違反行為を未然に防ぐために、どのような行為が独占禁止法上の問題になるのかを具体的に示す「フランチャイズ・ガイドライン」(正式名称:フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方)を公表。ガイドラインには、加盟者募集時および契約締結後の取引における留意事項が記載されています。
フランチャイズで新規事業を始めるのであれば、フランチャイズ・ガイドラインの内容をしっかりと押さえておきましょう。
フランチャイズを新規開業するにあたり、加盟者が個人事業主か法人かによって支払う税金の種類が異なります。
個人事業主が支払う税金の種類が「所得税」「住民税」「個人事業税」「消費税」の4つなのに対し、法人が支払う税金は「法人税」「法人住民税」「法人事業税」「地方法人特別税」「消費税」の5つです。売上によって支払う税金額が変わってくるので、法人だからといって税金を多く支払うということにはなりません。
むしろ個人事業主の納める所得税に比べて法人税の税率は緩やかなため、同じ売上額(所得額)でも個人事業主のほうが税金の負担が大きくなるということもあります。
法人向けフランチャイズとは、文字通り法人のみが加盟できるフランチャイズ形態です。そのため個人事業主のまま法人向けフランチャイズで開業することはできません。
法人向けフランチャイズとしては、例えば介護業界のように都道府県から法人として事業許可を得なければ開業できない業種などがあります。ただし、フランチャイズ契約前に法人化が必要なのか、契約後に法人化を行えるのかはケースバイケースとなるため、法人向けフランチャイズであってもあらかじめ契約内容をしっかりと確認することが不可欠です。
法人でも個人事業主でも加盟できるフランチャイズについては、そもそもどちらの形態で開業すべきなのか考えることも大切です。
個人事業主として事業を始める場合と法人化する場合では、開業に必要な手続きや初期費用などに違いがあり、また事業の経費として計上できる範囲や金額、支払うべき税金の種類といった面でもそれぞれにメリット・デメリットが存在します。
そのためまずは法人と個人事業主の違いやポイントを把握した上で、特に法人として開業する際の注意点などについてもチェックしておきましょう。
自社の事業に関して発生する様々なリスクを回避したり、その悪影響を補填したりする手段として、法人フランチャイズによる新しい店舗や事業を展開して収入源を複数確保するといった経営戦略も有効です。
リスク分散を目的とした法人フランチャイズでは同業種や類似業種のフランチャイズと、異業種のフランチャイズによって考え方や注意点が異なるため、それぞれの性質やメリット・デメリットなどを総合的に考えなければなりません。
フランチャイズ複数経営は、法人が複数の店舗を運営し、既存のビジネスモデルを活用して事業を拡大する手法です。これにより、リスク分散や安定した収益確保が可能となり、効率的な事業運営が実現します。本部のサポートやITツールの活用により、管理体制の効率化とスタッフ教育の充実が期待でき、法人は成長機会を掴みつつ、リスクを管理しながら企業の成長を加速させることが可能です。しかし、資金管理や契約条件には注意が必要です。
ストック型ビジネスは、商品やサービスを継続的に提供し、定期的な収益を確保するモデルです。安定した収益性、顧客との長期関係、効率的な経営がメリットです。例として、オンライン学習プラットフォーム、クラウドサービス、フィットネスジムなどが挙げられます。一方で、利益の低さや黒字化までの時間がかかることはデメリットです。フランチャイズにおいては、メンテナンス業やレンタル業、小売業などが代表例として適しています。
無人販売フランチャイズは、従業員を配置せずに商品やサービスを提供するビジネスモデルで、近年急速に成長しています。法人フランチャイズ企業が無人販売を導入するメリットには、人件費削減、運営効率化、24時間営業による売上向上があります。一方、技術的トラブルや初期投資の高さなどのリスクも伴います。無人販売市場は今後も拡大が見込まれ、効率的な運営と新しい顧客層の開拓に役立つ可能性があります。
フランチャイズ開業資金は業種やブランドにより300万円から3,000万円と幅が広く、飲食業では1,000万円以上、小売業やサービス業では500万円前後が目安です。個人開業は500万円以上、法人は1,000万円以上の自己資金が求められることが多く、調達方法としては融資や補助金の活用が有効です。自己資金は開業後の安定運営に不可欠で、事業計画に応じて20〜30%の自己資金確保が推奨されます。
ただし個人と法人ではフランチャイズにおける開業資金が異なり、法人は自己資金が豊富であれば融資不要で開業できるなど、財務基盤の安定性が強みとなります。
フランチャイズに加盟する際、初期投資が大きな壁になることも。そのような場合には、初期投資が少ないフランチャイズに加盟するという選択肢があります。初期投資が少ないことにより、資金が貯まるまでビジネスの開始を待たなくても良い点、万が一ビジネスがうまくいかなかったとしても損失が少なく済むといったメリットが考えられます。
フランチャイズに加盟する場合には、可能な限りリスクを低く抑えたいものです。そのためには、加盟するフランチャイズ本部選びをしっかりと行うことが重要です。例えば「初期投資を抑えられる」「運営のサポート体制が手厚い」「仕入れコストが安定している」などさまざまなポイントがあります。このように、低リスクで始められるフランチャイズは初心者がビジネスを始める際にもおすすめといえます。
フランチャイズビジネスでは、本部が持っている高いブランド力や知名度を利用できる、本部からの経営支援を得られるなどの理由から、安定収入が期待できます。そのためにも、本部からの手厚いサポートを得られるか、ブランドの信頼性と知名度を確認するなどポイントを押さえた上でフランチャイズを選ぶことが大切になってきます。
【注釈】
※1 リユース経済新聞( https://www.recycle-tsushin.com/news/detail_5804.php)
※2 厚生労働省( https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001099975.pdf)
日経コンパス( https://www.nikkei.com/compass/industry_s/0901 )
※3 株式会社AZWAYによるネットアンケート『「2024年にチャレンジしたいこと」1位:健康・美容、2位:スキル取得・向上、3位:副業、4位:運動・筋トレ』
( https://azway.co.jp/media/challenges-2024/)