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介護サービス

高齢者層の人口増加を受け、近年活発化している介護業界。「介護保険法」が2000年に施行されてからは他業種からの参入者も増加し、新規事業立ち上げ、買収など競争の激化が進んでいます
例えば業界トップの「ニチイ学館」※は、1996年の介護事業参入後も訪問介護やデイサービスを行う企業の事業子会社化や譲受によって多様な介護事業展開を続け、2022年には介護事業・訪問介護事業等を傘下に持つ「ティーアンドジー」を買収。また同年、西日本マインドのグループホーム事業も譲受しました。
今後も、大手企業による買収や様々な他分野からの参入が予想されます。

※参照元:業界動向サーチ「介護業界(2021-2022年)」(https://gyokai-search.com/3-kaigo.htm#jump1-1

介護サービスはフランチャイズでの開業がおすすめ

介護サービスと一口に言ってもサービスを利用する要介護者は多種多様であり、身体的な障害によって介護を必要としている人や、認知機能の衰えによって介護を必要としている人、またその他のハンディキャップなどが理由で介護を必要としている人まで千差万別です。

加えて、それぞれの要介護者や要支援者にとって適切な介護サービスを提供しなければならず、介護事業や介護人材は高度な専門性や経験と、ホスピタリティの両立が求められます。

そのため、最初からノウハウを提供してもらえるフランチャイズでの開業が適しています

気になる!介護サービスフランチャイズの将来性は?

年々増え続けている高齢者人口。2025年7月時点で、要介護(要支援)の認定者は731万人となりました。2000年時点での要介護者は218万人であったため、たった20年ほどで3倍以上に膨れ上がった計算になります。2025年は、いわゆる“団塊世代”が全員75歳以上となり、後期高齢者人口は2,180万人を突破することとなりました。

こうした背景を踏まえ、介護業界の需要も今後さらに高まっていくことが予想されており、業界の将来性は高いと言えます。

※参照元:厚生労働省「介護保険事業状況報告の概要(令和7年7月暫定版)」(https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/jigyo/m25/dl/2507a.pdf

介護サービスフランチャイズで開業するメリット

一口に介護サービスといっても業態は多様でマーケット状況にも違いはあります。ただ高齢化社会を背景に、いずれも需要は増え続けています。この点は大きなメリットと言えるでしょう。

また介護業界では、各事業者が利益を適切に確保できるよう、国が価格を決めます。つまり業界内で“安売り競争”が発生することがありません。そのため、きちんとした運営をすれば、他業種に比べると失敗の可能性は低いと言えそうです。

さらに、国家規模の課題に直結している介護事業は、開業資金の借り入れにおいても優遇措置が設けられています。例えば「日本政策金融公庫」では、介護事業者の借り入れに対して特別な枠を用意しています。自治体によっては助成金があるところもあり、他業種に比べて資金調達はしやすいでしょう。

安定した経営を支える「介護報酬」とは?

介護事業の大きな特徴は、利用料金が国によって決められている(介護報酬)という点です。これはつまり、価格競争が少なく、景気に左右されにくい安定したビジネスモデルということ。ただし、制度を理解して計画的に運営する必要があります。

「介護報酬」とは?

介護報酬とは、介護サービスを提供した際に、国や自治体から支払われるお金のことです。たとえば、利用者1人あたりのサービス内容ごとに「単位」が決まっており、その単位数に「単価(1単位あたりの金額)」を掛けて報酬額を計算します

さらに、一定の条件を満たすと「加算」という仕組みで報酬が上乗せされます。たとえば、職員の配置を手厚くした場合に認められる「特定事業所加算」や、スタッフの働き方を改善したときに受けられる「処遇改善加算」などがあります。

こうした加算を取得することで、収益を安定的に増やすことが可能です。

シミュレーションで利益を可視化する

介護事業では、利益を出すために必要な利用者数やスタッフ数をあらかじめ計算(シミュレーション)することが重要です。たとえば、「1日あたり10人の利用者がいれば黒字になる」といった形で損益分岐点を明確にしておくことで、計画的な経営ができます。

フランチャイズ本部がこうしたシミュレーションをサポートしてくれる場合も多いため、数字をもとに安定した事業計画を立てることが大切です。

デメリットはある?介護サービスフランチャイズでの開業

ここまで解説したように、年々深刻化する高齢化によって拡大傾向を続ける介護業界ですが、一方で人材不足という大きな課題も抱えています。

その要因のひとつになっているのが、賃金の低さ。また重労働であることも重なり、離職率が高い状況が続いています。賃金においては処遇改善が進んで以前に比べると上昇傾向にはありますが、依然として重労働のわりに給与水準が低い現状は変わらず、人手不足問題は解消されていません。この課題には向き合う必要があるでしょう。

また、介護保険制度の改正に伴って業界全体のルールが大きく変わることがあるのも介護ならではの特徴です。この点も頭に入れておく必要があります。

参照元HP:株式会社デジタル&ワークス公式HP「業界動向サーチ」介護業界の動向や現状、課題などを研究(https://gyokai-search.com/3-kaigo.htm#jump1-1
参照元HP:株式会社マイナビ公式HP「マイナビ独立」未経験者にも活路が。介護フランチャイズのメリットを経営者兼コンサルが語る(https://dokuritsu.mynavi.jp/fc/reading/articles/67

介護サービスのフランチャイズ開業・運営にかかる費用

初期費用・開業費用

介護サービス事業をフランチャイズで開業する場合、まずは介護事業のサービス内容や事業形態に合わせて、サービス提供場となる施設を用意しなければなりません

また、介護事業では法律によって施設の要件なども定められており、それに合わせた改装や調整が必要です。もちろんサービスに必要な機器や器具、消耗品、送迎する場合は車両などの準備にも費用がかかります。

さらに、フランチャイズへ加盟するための加盟料や保証金、研修費といった費用も考えなければならず、その他にも施設の宣伝広告費や人材募集のためのコストも検討しましょう。

維持費用・運営費用

事業を維持していくためには介護人材が不可欠なため、人件費を無視することはできません。さらに水道光熱費や消耗品の購入費、食事を提供する場合は食費なども必要です。

要介護者の送迎を車で行う場合にはガソリン代などもランニングコストになります。

その他にもフランチャイズ本部へ支払うロイヤルティや、各種税金も維持費として考えておくことが重要です。

介護サービスの種類

介護サービスのフランチャイズ業界は、利用者のニーズや運営形態の違いから、さまざまな業態に分類されます。

まず、代表的な業態として「デイサービス」「訪問介護」「訪問入浴・マッサージ」「配食サービス」「グループホーム」などが挙げられます。これらはそれぞれ、提供するサービス内容や利用者層、運営に必要な人員・設備、法的要件が大きく異なります。

デイサービス

デイサービスは、利用者が日中施設に通い、食事、入浴、機能訓練、レクリエーションなどを受けるサービスです。中でも、以下のようなサブタイプが存在します。

  • リハビリ特化型デイサービス:リハビリに重点を置いたプログラムを提供し、介護だけでなく機能回復や維持を目的とする。
  • お泊りデイサービス:通常のデイサービスに加え、短時間の宿泊サービスを提供することで、家族の介護負担軽減を図る。
  • 認知症対応型通所介護:認知症の利用者に特化し、専門のケアや環境整備を行い、安心・安全なサービス提供を目指す。

それぞれのサブタイプは、必要な施設面積、設備投資額、スタッフの資格(介護福祉士、ケアマネージャーなど)の要件、運営の収益モデルなどが大きく異なり、初期投資額や運営コストにも影響を与えます。

訪問介護

訪問介護は、介護スタッフが利用者の自宅を訪問し、日常生活のサポート(入浴介助、料理、掃除、買い物の支援など)を行います

利用者が自宅で安心して生活を続けるためのサービスであり、常勤の介護職員に加え、サービス提供責任者の配置や、一定の人員基準(例:常勤スタッフ2~3人以上)が求められるケースが多いです。地域密着型の運営が可能で、特に高齢者の単身世帯が増加している地域では需要が高まっています。

訪問入浴・マッサージ

訪問入浴は、高齢者や障害者の自宅にて、入浴支援サービスを提供するもので、看護職員および介護職員が必要です。

さらに、訪問マッサージサービスは、あん摩マッサージ指圧師など国家資格を持つ専門家が行うため、サービスの質と安全性を確保するための研修や人材育成が不可欠です。

これらの業態は、介護保険や医療保険の適用対象となるため、料金体系や運営の収益構造が法定で定められている点も共通しています。

配食サービス

配食サービスは、高齢者の自宅へ栄養バランスの取れた食事を届ける事業です。調理や配達だけでなく、配達時に利用者の健康状態をチェックするサービスを提供している事例もあり、資格を必要としないため、比較的低資金で開業できる点が特徴です。

利用者が継続的に契約を更新することで、安定した収益が期待できます。

グループホーム

グループホームは、認知症高齢者や障害者が少人数で共同生活を送りながら、生活支援や介護サービスを受ける施設です。家庭的な環境を提供するため、利用者とその家族から高い信頼を得られる一方、施設運営には24時間体制や人員の確保、厳格な法定基準の遵守が必要となります。

介護サービスフランチャイズで失敗しないためのポイント

人材管理

介護業界では慢性的な人手不足が深刻化しており、その理由として離職率の高さと求職者の減少が挙げられます。

そもそも介護サービスという職種に対してネガティブなイメージを抱いている人も多い中、離職率の高まりを防いで従業員に気持ち良く働いてもらうためには、福利厚生を意識するだけでなく要介護者や同僚といった人間関係に起因するトラブルについてもケアしていかなければなりません。

収支管理

介護サービス事業は介護報酬が法的に定められており、サービスの品質を向上させたからといっていきなり売上が増大するものではありません。反面、サービス品質が低下すれば利用者からの不満につながるため、コストパフォーマンスを維持するための収支管理が必要です。

リスク管理

介護業界では思いがけない事故やトラブルのリスクが常にあります。そのためリスク管理を日頃から意識して、そもそも事故が起こりにくい環境づくりを目指していきましょう。

本部との連携を強化

介護ノウハウを有している本部と積極的にコミュニケーションを取って連携し、多角的なサポートを受けることも重要です。

法人ならではの強みを活かした参入戦略

介護フランチャイズへの参入は、個人事業主だけでなく既存事業を展開する法人にとっても有望な新規事業領域です。すでにある会社の資産や仕組みを上手に活かすことで、初期投資の抑制や事業の安定化が図れます。

不動産や遊休スペースの有効活用

もし会社で店舗・事務所・倉庫などを所有している場合、それらを介護施設(例:デイサービスセンターやグループホーム)として使うことができます

これにより、新しい建物を建てるよりも初期費用を抑えて事業を始められるというメリットがあります。

社内人材や部門の共有

すでにある経理や人事、総務などの部署を介護事業でも活用することで、重複する業務を減らし、コストを削減できます。たとえば、採用活動や給与計算などを一本化することで、運営の効率化が可能です。

既存顧客とのつながりを活かす

もし現在の事業で中高年層やシニア層と関わりがあるなら、そのネットワークを介護サービスに広げることができます。

たとえば、不動産会社なら「高齢者向けの住宅やサービス」を紹介するなど、既存顧客を新しいサービスにつなげることができるのです。

まとめ:自社の強みを活かして安定した新事業へ

介護フランチャイズへの参入は、単に新しい業種に挑戦するというよりも、自社のリソース(資産・人材・顧客)を活かした多角化経営の一つです。成功するためには、

  • 介護報酬制度を理解し、利益を見通せる計画を立てるか
  • 既存の資源をどう活かすか
  • 人材をどう獲得するか

この3つを意識することがポイントです。フランチャイズ本部の支援を受けながら、社会的意義のある介護ビジネスを通して、安定した経営と地域貢献を両立していきましょう。

介護サービスのほかにも、これから伸びるフランチャイズを紹介していますので、参考にしてみてください。

THREE SELECTION

将来性が見込める
業界への参入!
おすすめの
フランチャイズ本部3選

成長戦略の一環として
リスク分散を実現

収益安定性を見込める買取事業
売るナビ

売るナビ(買い取り)
引用元:MTC公式HP
https://fc-urunavi.com/

事業の特徴

  • 2009年~2022年の13年間、市場規模が伸び続ける(※1)買取業界。なかでも本部選定の商業施設に出店するため、競合との差別化が図れる。
  • 買取可能かを調べてから買い取る、在庫を持たないビジネス。買い取った時点で黒字が確定

加盟金・ロイヤリティ

  • 加盟金:327万円
  • ロイヤリティ:売上の9%/月
成熟市場に代わる事業へシフト
迅速な市場への参入

人的資源を活かす介護事業
だんらんの家

だんらんの家
引用元:だんらんの家
https://danrannoie.com/fc

事業の特徴

  • 2021時点で要介護者は約690万人。今後も高齢者は増え続ける(※2)と予想される介護業界。消費動向に影響されにくく、売上の9割が国から入金される安定事業
  • 管理者、職員への徹底した人材育成研修を実施

加盟金・ロイヤリティ

  • 加盟金:要問合せ
    加盟金を含めた設備投資額目安:1,180万円(税不明)
  • ロイヤリティ:13万円(税不明)
経営上の課題解決策を見出す
ビジネスフレームの蓄積

店舗展開のフィットネス事業
APT ROOM

APT ROOM
引用元:APT ROOM公式HP
https://www.aptroom.site/

事業の特徴

  • 筋トレや運動のニーズが高まり(※3)、小型・需要特化型のジムが増加するフィットネス業界。本部は北海道で多店舗展開し、開業から集客まで一貫してサポート。
  • 加盟金・サポート費(開業~3ヶ月間)、研修費用は0円で参入しやすい。

加盟金・ロイヤリティ

  • 加盟金:0円
  • ロイヤリティ:10万円(税不明・開業3ヶ月までは0円)

【注釈】
※1 リユース経済新聞( https://www.recycle-tsushin.com/news/detail_5804.php)
※2 厚生労働省( https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001099975.pdf)
  日経コンパス( https://www.nikkei.com/compass/industry_s/0901 )
※3 株式会社AZWAYによるネットアンケート『「2024年にチャレンジしたいこと」1位:健康・美容、2位:スキル取得・向上、3位:副業、4位:運動・筋トレ』
( https://azway.co.jp/media/challenges-2024/)