ハウスクリーニングとは、一般家庭や事業所などを対象として、室内の清掃業務を専門に行うサービスです。一般家庭に対し、家屋全体やエアコン・レンジフードといった特定の設備機器等の清掃を行うサービスのほか、不動産会社等に対し、空室の清掃を請け負うサービスなどもあります。
一般家庭における日常的な清掃を行う場合などでは特別な知識・スキルは必要ありませんが、一方で専門性が求められる清掃業務もあります。
ハウスクリーニングといっても実際に現地で対応する作業は業者によって様々であり、対応力を高めることは集客力につながる一方、そのためのスキルの習得や設備の準備には時間やコストもかかります。
フランチャイズでは独自に構築したノウハウがあり、専門業者として業務品質を高めるためのマニュアルや清掃に使用する洗剤といった備品を用意してもらうことが可能です。
また、自宅へ招くハウスクリーニングは信用性も重視されるため、認知度の高いフランチャイズを利用することで依頼者へ安心感を伝えやすい点も重要です。
単身高齢者の増加や働く女性の増加(共働き世帯の増加)といった社会的背景により、自宅の掃除をする人・時間の確保が困難なケースが増えており、こうした状況からハウスクリーニングの市場規模は近年拡大傾向にあります。
日本経済新聞社の調査によると、家事代行市場規模は2021年度で807億円となり、2016年度の2倍となる成長を遂げています。
また、独立行政法人中小企業基盤整備機構の調査によると、まだまだ未利用者の数が多いため、今後も市場規模の拡大が見込まれており、将来性はあると言えるでしょう。
上で触れたとおりハウスクリーニング市場の規模は拡大が続いており、将来性がある点は大きなメリットです。
また、ハウスクリーニング事業は開業するのに特別な届出や許認可が要りません。さらに大きな機器等も不要で、場合によっては専用の事務所や店舗も構えず開業することも可能であり、施設・設備への初期投資も抑えられます。これらのことから開業のハードルが低く、初心者や中小事業者でも参入しやすいのもメリットと言えます。
そのほか、体力は必要であるものの年齢に関係なく業務を行える点や、必要な分だけ準備しておけば薬剤の在庫を抱える心配がない点なども、安心できるポイントのひとつです。
法人が新規事業としてハウスクリーニングを導入する最大の利点は、「既存顧客へのクロスセル(追加提案)」と「自社リソースの有効活用」にあります。以下の業種では、特に高い相乗効果が期待できます。
管理物件の清掃を内製化すれば、外注コストをそのまま利益に変えられます。作業品質も自社でコントロールできるため、トラブルを未然に防げるのが強みです。
また、リフォーム後の清掃や既存客へのエアコン洗浄の提案は、良好な関係を保つ絶好のチャンス。定期的な訪問が、将来的な修繕や住み替え相談を引き出す強力なフックとなります。
介護保険の枠内では、換気扇の油汚れや浴室のカビ取りといった「専門的な掃除」には対応できません。ここを自社のプロサービスで補うことで、利用者の満足度と売上単価を同時に引き上げられます。
「生活の困りごとを丸ごと解決してくれる」という信頼感は、地域でのブランド構築に大きく寄与します。利用者とその家族の両方に喜ばれる、社会的意義の高い展開が可能です。
家事代行のスタッフに専門技術を習得させれば、単価の高いプロ向け案件を任せられます。単純な軽作業から高付加価値なサービスへ移行することで、稼働の質が劇的に向上します。
また、「働きながら専門スキルが身につく」という教育体制は、求職者にとって大きな魅力です。深刻な人手不足の中でも、成長意欲の高い優秀な人材を惹きつける採用武器となります。
未経験でも参入しやすく、比較的手軽に始められるハウスクリーニングのフランチャイズですが、実は業務に伴うリスクもあります。
例えば、壁や床などを薬剤で変色させてしまったり、作業ミスで家具を壊してしまったりといったトラブルが考えられます。こうしたトラブルを100%防ぐのは困難なため、重要となるのは“迅速かつ適切な対応”です。
補修技術を身に着けておく、団体賠償責任保険等に加入しておくなど、リスクへの対策が求められるでしょう。加盟本部のサポート面もよくチェックしておくことをおすすめします。
フランチャイズで事業をスタートさせる場合、まず本部への加盟料や保証料といった初期費用がかかります。また運営費としてロイヤルティや契約更新料などを定期的に支払わなければならないこともあるでしょう。
その上で、事業者としてハウスクリーニングの開業や運営にかかるコストを考えなければなりません。
フランチャイズの加盟にかかるコストだけでなく、清掃業務やサービス内容に応じて清掃用具や洗剤、業務用機器などを準備することが必要です。また実店舗を運営しながら事業を続ける場合、店舗の取得にかかる費用もあるでしょう。機材を載せて現地へ向かうための車両の取得費もかかります。
なおフランチャイズによっては清掃業務の研修を受けるため、研修費が別途必要になるかも知れません。
フランチャイズへのロイヤルティは常に意識しなければならない維持費用の1つであり、また本部によっては契約更新料を求められる場合もあります。
加えて洗剤などの消耗品は必要に応じて購入しなければならず、事業所や社用車の家賃やガソリン代、またそれぞれの家賃もランニングコストです。
もちろん売上に対して税金が課税され、複数の従業員を雇うのであれば人件費も意識します。
ハウスクリーニングフランチャイズに加盟する際には、収益性や運営のしやすさを確保するため、さまざまな観点から慎重に選択する必要があります。以下は、加盟前に確認すべき重要なポイントです。
顧客は清掃サービスを依頼する際、信頼性の高いブランドを選ぶ傾向があります。有名ブランドのフランチャイズに加盟することで、そのブランド力を活用して集客がしやすくなるでしょう。例えば、「おそうじ本舗」や「ダスキン」のような名前の知られている大手ブランドは、知名度だけでなく、既存の信頼を活かして顧客を獲得しやすい点が魅力です。また、地域での口コミや評判もブランド選びの際に考慮すべき要素です。
フランチャイズ加盟時には、初期投資として加盟金や保証金、さらに毎月のロイヤリティが必要です。これらの費用は本部によって異なり、以下のような範囲が一般的です。
加盟を検討する際には、これらの費用が自身の予算やビジネスプランに適しているかどうかを慎重に確認する必要があります。また、初期投資以外にも開業準備費用(掃除用具費、車両購入など)が発生する可能性があるため、総合的なコスト計算を行いましょう。
フランチャイズ本部が提供する支援内容は、事業運営の成功を左右する重要な要素です。以下の支援が充実しているかを確認してください。
未経験者が成功するためには、これらのサポート体制が整った本部を選ぶことが重要です。
フランチャイズ契約には、契約期間や解約条件、競業避止義務など、事業運営に影響を与える要素が多く含まれています。特に以下の点を注意深く確認する必要があります。
将来的に独立や他業種への展開を考えている場合は、契約内容がそれを妨げないかを事前に確認することが重要です。
フランチャイズを選ぶ際には、提供するサービスが地域特性に適しているかを見極めることも大切です。競合状況や地域の需要、ターゲットとなる顧客層を事前に調査し、適切なマーケットで運営できるかを確認しましょう。大手ブランドであっても、地域のニーズに合わない場合、集客が難しくなることがあります。
一般家庭向けのサービスで培った技術とフランチャイズの看板は、法人向け市場への展開において強力な武器となります。安定した収益基盤を作るための3つの戦略を紹介します。
一般家庭向けと異なり、空室清掃は年間を通じて依頼が舞い込む「リピート性の高いビジネス」です。フランチャイズの知名度と統一された品質基準があれば、管理会社への営業もスムーズに進みます。
まずは安定した案件数を確保することで、スタッフの技術習得を早められます。経営の土台となる「計算できる収益」を早期に構築できるのが最大のメリットです。
飲食店やクリニックなどは、衛生管理が常に求められるため、非常に安定した市場です。一般家庭からの依頼が少ない早朝や夜間の時間を有効活用できるのも魅力でしょう。
毎月決まった清掃契約を積み上げることで、売上が上下しやすいスポット型の働き方から脱却できます。月々の固定収益が発生する「ストック型ビジネス」へと、事業モデルを強化することが可能です。
インバウンド需要の拡大により、宿泊施設の清掃ニーズは急増しています。特に客室の印象を左右するカーペットやエアコンの洗浄は、高い技術が求められる領域です。
日常清掃とは別に「専門メンテナンス」として提案することで、既存の清掃業者との差別化が図れます。観光市場の成長をダイレクトに収益へ取り込める、ポテンシャルの高い分野です。
ハウスクリーニングをフランチャイズ開業する場合、まず加盟料や保証料、ロイヤルティなどの金額をしっかり比較検討してください。さらに清掃ノウハウや必要な資材の仕入れなどについても本部のバックアップがあるかどうかは重要です。特に専門業者として幅広いサービスを提供する場合、自分の経験不足を補ってくれるフランチャイズのサポートは極めて大切なポイントになります。
また、ハウスクリーニングを続けていく上で経験を積み、スキルを習得すれば、改めて独立開業したいと考えることもあるでしょう。しかしその時になって違約金が発生したり、周辺エリアでの競業避止義務を課せられたりすることもあり、解約時の条件についてもチェックしておくことが不可欠です。




【注釈】
※1 リユース経済新聞( https://www.recycle-tsushin.com/news/detail_5804.php)
※2 厚生労働省( https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001099975.pdf)
日経コンパス( https://www.nikkei.com/compass/industry_s/0901 )
※3 株式会社AZWAYによるネットアンケート『「2024年にチャレンジしたいこと」1位:健康・美容、2位:スキル取得・向上、3位:副業、4位:運動・筋トレ』
( https://azway.co.jp/media/challenges-2024/)