既存事業を持つ経営者にとって、売上の安定化や市場変化への対応として事業多角化は重要な経営戦略です。なかでもフランチャイズは、既存事業との両立を実現しやすい手段として注目されています。ゼロから新規事業を立ち上げる場合と比べ、どのような点が有利なのかを見ていきましょう。
フランチャイズでは、すでに市場で成功実績のあるビジネスモデルをベースに事業を始められます。本部が蓄積したノウハウや運営データを活用でき、精度の高い事業計画を策定しやすいのが特長です。想定される損害額も事前に把握しやすく、独自に新規事業を開発する場合と比べて時間・コスト・リスクを大幅に抑えられます。
フランチャイズ本部は、マニュアルや研修制度、SV(スーパーバイザー)による支援体制を提供しています。これらを活用することで、未経験の従業員でも短期間で戦力化が可能です。既存事業の人材リソースを大きく割かずに新規事業を運営でき、本業への影響を最小限に抑えられます。複数店舗のスピーディーな展開にも対応しやすい点が魅力です。
フランチャイズを既存事業と掛け合わせ、シナジー効果を最大化するにはどうすればよいのでしょうか。ハイブリッドビジネスモデルとして成果を出すためのポイントを紹介します。
相乗効果を高めるには、まず自社の強みと弱みを正確に把握することが重要です。売上の季節変動や顧客層の偏り、人材不足など既存事業の課題を洗い出し、それを補完できるフランチャイズ業種を選定しましょう。
たとえば、夏場に売上が集中するアイスクリーム事業者が、通年で需要が安定するシュークリーム専門店FCに加盟するケースがあります。既存事業の弱みを補う業種を選ぶことで、季節変動リスクの分散にもつながります。
事業多角化には「関連多角化」と「無関連多角化」の2つの方向性があります。関連多角化は既存事業と関連のある分野への進出で、ノウハウや顧客基盤を共有しやすい点がメリットです。一方、無関連多角化はまったく異なる分野への進出であり、リスク分散効果が高い反面、シナジーは生まれにくい傾向があります。
ファッションウィッグ販売業者が美容室FCに加盟するケースは関連多角化にあたります。靴の小売業者が飲食FCに加盟する場合は無関連多角化です。自社に合った方向性を見極めることが大切です。
フランチャイズと既存事業を掛け合わせた事業多角化は、さまざまな業種で成果を上げています。ここでは、異業種からFC加盟し既存事業との相乗効果を実現した事例を紹介します。
調剤薬局がデイサービスFCに加盟した事例では、既存の商圏で高齢者向けサービスを展開し、顧客接点の拡大に成功しています。健康サポート薬局としての機能強化にもつながり、薬剤師の専門知識をデイサービスの健康管理に活かせる点もシナジーの一つです。
遺品整理事業を展開する企業が買い取りFCに加盟した事例では、現場で見つかる価値ある品物を自社で正確に査定・買取できる体制を構築しました。これにより、外部業者へ委託していたコストを削減するだけでなく、買取金額を作業費用に充当することで、顧客の金銭的負担を軽減するという独自の強みを生み出しています。
フランチャイズによる事業拡大を成功させるには、以下の点に注意が必要です。
フランチャイズは、成功実績のあるビジネスモデルと充実した支援体制を活用できるため、既存事業との両立に適した手段です。自社の課題を分析し、相乗効果が見込めるフランチャイズを選ぶことが成功のカギとなります。まずは情報収集や説明会への参加から、事業多角化の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。




【注釈】
※1 リユース経済新聞( https://www.recycle-tsushin.com/news/detail_5804.php)
※2 厚生労働省( https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001099975.pdf)
日経コンパス( https://www.nikkei.com/compass/industry_s/0901 )
※3 株式会社AZWAYによるネットアンケート『「2024年にチャレンジしたいこと」1位:健康・美容、2位:スキル取得・向上、3位:副業、4位:運動・筋トレ』
( https://azway.co.jp/media/challenges-2024/)