このページでは、フランチャイズを開業する際に「法人」と「個人事業主」のどちらの形態を選ぶべきか、それぞれの決定的な違いを解説しています。
目先の開業コストだけでなく、将来的な多店舗展開や節税効果までを見据えた、最適な事業形態選びのヒントが見つかる内容です。
フランチャイズを利用する場合であっても、法人と個人事業主のどちらを選ぶべきなのかについて、基本的な考え方は通常の開業とあまり違いはありません。そのため、法人化するのか個人事業主として営むのかは事業規模や諸費用、手続きの内容などを総合的に考慮して判断します。
ただし、フランチャイズ形態の選択肢や資金調達を考えるに当たって法人でなければ利用できない選択肢もあるため、まずはそれぞれの違いを把握しておきましょう。
個人事業主として開業する場合、少なくとも自分で税務署へ開業届を提出するために必要な費用はありません。そのため自分で開業手続きを済ますのであればイニシャルコストを抑えられます。一方、法人として開業する場合は登録免許税や定款認証にかかる費用などが発生するため、事業を始める時点である程度の資金が必要になります。
個人事業主として事業を営む場合、売上高によって変化するものの基本的に支払うべき税金は以下の4種類です。
それに対して法人化した場合、税金の種類は以下のように変化します。
なお、法人として自らに給与を支払った場合、給与所得控除などの分を差し引いた上で所得税や住民税が発生することもあります。また従業員などを雇用すれば社会保険料の支払いといった費用が別途必要になることもポイントです。
法人として経営する場合は経営者自身にも給与などを支払います。しかし個人事業主として経営する場合、自身に給与を支払って経費計上することができません。
一方、個人事業主は事業に必要な交際費について全額を経費計上できますが、法人は資本金の額や事業規模などによって経費計上できる上限額が決められています。
ただし個人事業主だからといって過剰な経費計上を行うと、税務署から指摘されて追徴課税などを命じられる可能性が高まります。
個人事業主は法人化と比べて開業のハードルが低いこともあり、その気になれば誰でも個人事業主を名乗ることが可能です。そのため社会的な信用度で見れば法人の方が優れているといえる上、実際に資金調達の方法として事業融資やファクタリングなどを利用する場合、個人事業主では申込みを受け付けてもらえないといったケースも珍しくありません。
その他、取引先や顧客などからのイメージも法人化した方が良くなる場合はあるでしょう。
個人事業主は極論すると、事業主である自分の裁量で経営していくことが可能です。一方、法人化すると定款に記載されている内容を守らなければならず、経営者として事業を営んでいく上で自由度という観点で考えれば法人の方が制限されています。
ただし、フランチャイズを利用する場合は個人事業主であってもフランチャイズ契約の内容を無視することはできません。
なお、法人でも定款の変更手続きなどを行えば事業内容を変えることは可能です。
法人として開業しようとする場合、そもそも法人化によって得られるメリット・デメリットを最初に考えておかなければなりません。
法人は開業時の手続きが個人事業主よりも複雑で費用がかかり、定款や資本金の額に応じた制限に縛られるといったデメリットがあります。しかし事業規模が大きくなっていった場合、法人の方が結果的に納税しなければならない税額を抑えられたり、資金繰りがスムーズになっていったりするといったメリットもあります。
そのためフランチャイズを利用しつつ法人として開業する場合、きちんとフランチャイズ契約の内容を把握した上で、将来的な事業計画も踏まえながら事業目的や資本金といった法人化のポイントを決めていくことが必要です。
Q. 最初は個人事業主として始めて、軌道に乗ってから法人化することは可能ですか?
A. はい、可能です。これを「法人成り」と呼びます。まずは個人として開業し、利益が一定額(一般的に所得700万〜800万円が目安)を超えたタイミングで法人へ移行することで、初期費用を抑えつつ段階的に税負担を最適化できます。ただし、フランチャイズ契約の「名義変更」や「再契約」の手続きが必要になるため、あらかじめ本部に確認しておくことが重要です。
Q. 法人でないと加盟できないフランチャイズ本部はありますか?
A. 存在します。特にBtoB(法人向け)のサービスや、投資規模が大きい業態、高度な管理体制が求められるブランドでは、契約対象を法人に限定しているケースがあります。気になる本部がある場合は、募集要項の「契約対象」を必ずチェックしてください。
Q. 社会保険料の負担について、法人と個人事業主で大きな違いはありますか?
A. 法人の場合、社長一人であっても社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が義務付けられ、会社が保険料の半分を負担することになります。個人事業主は基本的に国民健康保険・国民年金となるため、従業員数や給与設定によっては、法人の方が法定福利費の負担が重くなる傾向にあります。
Q. 家族に手伝ってもらう場合、どちらの形態が節税に有利ですか?
A. 一般的には法人が有利なケースが多いです。法人は家族を役員や従業員にすることで比較的自由に給与を支払い、経費にできます。個人事業主でも「青色事業専従者給与」として家族に給与を支払えますが、事前に届け出が必要だったり、専従(その仕事につきっきり)でなければならなかったりと、法人より制限が厳しいのが特徴です。




【注釈】
※1 リユース経済新聞( https://www.recycle-tsushin.com/news/detail_5804.php)
※2 厚生労働省( https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001099975.pdf)
日経コンパス( https://www.nikkei.com/compass/industry_s/0901 )
※3 株式会社AZWAYによるネットアンケート『「2024年にチャレンジしたいこと」1位:健康・美容、2位:スキル取得・向上、3位:副業、4位:運動・筋トレ』
( https://azway.co.jp/media/challenges-2024/)